成果事例
「無視」と「褒める」で自閉症スペクトラム・ADHDの児童が集団活動できるようになるまで
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ビーナスでは、サービス力向上のため、「成果に対して根拠ある仮説を立て検証すること」を大切に、ノウハウの蓄積とブラッシュアップを続けています。
今回は、『Venus Value Award 2021 キッズ事業課 児童指導員部門』の発表を一部抜粋し、児童指導員が利用児童やご家族さまの希望に寄り添う適切な支援(「無視」と「褒める」)で、自閉症スペクトラム・ADHDのお悩みが改善した事例についてご紹介させていただきます。
「Venus Value Award」とは、ビーナスが年に1度実施している、成果=Value(ビーナスがお客様に約束する価値)の発表会です。審査員には、各専門分野の先生をお招きし、厳正なる評価・審査を行います。
ビーナスに通ってくださるご利用者様の日々の変化や、事例を共有する場であるとともに、ご利用者様の生の声や仲間が努力した結果を感じる場でもあることから、多くの学びを得る機会としてスタッフに好評のイベントです。
苦手なこと(集団のなかで)にもチャレンジして欲しい
児童発達支援・放課後等デイサービス『ビーナスキッズ』では、支援内容を統一するのではなく、児童やご家族さまに「どうなりたいのか」をお聞きした上で、それを達成するためにどんな支援が必要か、スタッフで相談し、
発達障害は、おなじ特性であっても児童によってこだわり行動や感覚に大きな違いがあり、その子に合わせた支援が必要不可欠だからです。
今回の事例の児童は、利用開始時点の体力測定で、当時小学1年生にもかかわらず、小学3年生・5年生レベルのものもある一方で、未就学児童レベルのものもありました。
体を動かすのが好きで、瞬発力や筋力はあるものの、細かいコントロールが苦手なのではないかと予想されました。
利用児童の希望は「楽しく体を動かしたり遊んだりしたい」、ご家族さまの希望は「自分の気持ちを相手に伝えられるようになって欲しい」「苦手なこと(集団のなかで)にもチャレンジして欲しい」とのことで、特性に合わせたサポートを開始しました。
具体的な取り組み
具体的な取り組みとして、まずは特性に合わせた支援を行いました。
▼自閉症スペクトラムの対応方法
- 正しい行動を知らないため、正しく教える
- 安心感を与えられるように同じサイクルでパターン化して教える
- 聴覚情報より視覚情報が強く印象つけられる傾向にあるため、写真やイラストで伝えるようにする
▼ADHDの対応方法
- 褒めることでドーパミン(幸福ホルモン)を出し、増やしたい行動を強化する
- 減らしたい行動は注意するのではなく無視(反応しない)し、望ましい行動に変わったときに褒める
- 危険を及ぼす行為は絶対に止める
利用開始半年時点で、一部行動に改善が見られた段階で、集団行動できるように支援内容をさらに工夫し続けました。
- 活動のパターン化(視覚化)を強化
- 正しい行動ができたときはみんなの前で褒める
(正しい行動ができなくなったときは、別室でクールダウンさせる) - 活動に対してポイント制を導入し、たまったときに好きなキャラクターの塗り絵などご褒美をあげる
これらの対応をスタッフ全員で共有し、児童が混乱しないよう「同じ対応」を心がけました。
自信をもって集団行動できることでさらにやる気アップ
継続利用3年を超える現在においては、学習・運動ともに大きく改善しました。
みんなと合わせて本を声に出して読んだり、自ら進んで漢字の筆順の練習をしたりなど、自信をもって集団行動ができるようになり、利用児童本人もよりいっそうのやる気で、毎日楽しく通ってくれています。
ホワイトボードで活動の見通しを立て、ご褒美制の活用によりやる気と意欲を維持することで、最後まで集団で活動できるようになりました。また、正しい行動を教え続け、みんなの前で褒めることで、自己肯定感とやる気の向上につながりました。
これからも『ビーナスキッズ』では全スタッフが情報を共有し、同じ対応を徹底することで、利用児童やご家族さまに安心してご利用いただけるサービスを提供していきたいと考えています。