下肢筋力が低下し気持ちが後ろ向きだったご利用者さまを前向きに変えた初期介入の重要性

成果事例

公開：2023/03/27　最終更新：2023/03/27

ビーナスでは、サービス力向上のため、「成果に対して根拠ある仮説を立て検証すること」を大切に、ノウハウの蓄積とブラッシュアップを続けています。

今回は、『Venus Value Award 2022 クラブ事業課運動スタッフ部門』の発表を一部抜粋し、下肢筋力が低下し気持ちが後ろ向きだったご利用者さまを前向きに変えた初期介入の重要性についてご紹介させていただきます。

参考Venus Value Award とは

「Venus Value Award」とは、ビーナスが年に1度実施している、成果＝Value（ビーナスがお客様に約束する価値）の発表会です。審査員には、各専門分野の先生をお招きし、厳正なる評価・審査を行います。

ビーナスに通ってくださるご利用者様の日々の変化や、事例を共有する場であるとともに、ご利用者様の生の声や仲間が努力した結果を感じる場でもあることから、多くの学びを得る機会としてスタッフに好評のイベントです。

近くのスーパーに一人で買い物に行けるようになりたい

半日型フィットネスデイサービス『ビーナスクラブ』では、ご利用者さまお一人おひとりの目標や状況に応じて、運動プログラムを作成・実行しています。

また、ご利用者さまご自身が変化を実感され、楽しくビーナスに通っていただくために、特に初期介入を重視しています。

今回の事例でご紹介させていただくご利用者さまは、転倒による腰部圧迫骨折ですり足歩行となり、外出機会の低下から引きこもりがちになってしまいました。

一方で「近くのスーパーまで一人で買い物に行けるようになりたい」というご希望を持っておられ、ご家族さまからは「他者との交流を増やし、気持ちを前向きにしてほしい」とのご相談もありました。

そこで、下肢筋力を強化し歩行に自信を持っていただくための取り組みを開始しました。

ビーナスには、ご利用者さまのご要望やトレーニング内容をスタッフ間で共有するための独自ツールがあります。その日の運動量や次のご利用日における課題をスタッフ全員で共有し、次のアクションを相談するために利用しています。

このツールを最大限に活用しながら、あえて毎回別のスタッフが対応することで、「ビーナスに行けばいろんな人が話を聞いてくれて楽しい！」と思っていただけるように工夫ながら、トレーニングに取り組んでいただきました。

▼トレーニング内容の一部抜粋

また、運動へ自信を持っていただくため、成長した部分について積極的に声がけさせていただき、信頼関係の構築とモチベーションアップへつなげました。

運動量を確保し、運動習慣を定着させることができれば、来所時だけでなくご自宅での生活においても、変化を実感していただきやすいと考えました。

ご利用開始から1ヶ月の時点と、ご利用開始から半年経過した時点の、体力測定の変化を表にしました。

ご利用開始時は、転倒への不安から歩幅も狭く目線も下がった状態での歩行でしたが、取り組み後は歩行姿勢も安定し、目線を上げて歩行していただけるようになりました。

また、TUGテストにおいては、取り組み開始時は「杖あり」での計測でしたが、トレーニングを重ねていただいた現在は、「杖なし」での計測で、しかも6.5秒もタイムが短縮されました。

参考 TUGテスト（＝タイムアップアンドゴー）とは

椅子に座った状態でスタート、3m離れた目印まで無理の無いスピードで歩いて帰り、元の体勢に戻るまでのタイムを計測。敏捷性などを総合的に測るテスト。

ご本人の努力により、休まず一生懸命運動を続けていただけたことで、下肢筋力が向上し歩行に自信を持っていただくことができたと考えられます。

目標であったスーパーでの買い物も押しグルマでお一人で行けるようになったのに加えて、取り組み前は自信がなく階段を登れなかったご自宅の2階にも上がれるようになり、洗濯干しもできるようになったそうです。

ご利用者さまからは「休んだら筋力が低下するから頑張ります」「次は踏切を渡れるようになりたい！」と力強いコメントをいただき、新たな目標を持って運動に取り組んでくださっています。

今回の取り組みでは、特に初期介入において、スタッフ全員で情報を共有しながら、運動習慣の定着と歩行状態の改善に取り組んだことで、ご本人に体の変化を実感していただき自信に変えられたことが大きな成果につながったと感じています。

これからも、ご利用者さまの課題やニーズを把握し、お一人おひとりに寄り添ったサービスを提供することで、「ビーナスにきて良かった！」と思っていただけるよう、スタッフ一同、全力で運動指導に取り組んでまいります。