成果事例
五十肩(肩関節周囲炎)に対する鍼治療の効果と治療経過について
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ビーナスでは、サービス力向上のため、「成果に対して根拠ある仮説を立て検証すること」を大切に、ノウハウの蓄積とブラッシュアップを続けています。
今回は、『Venus Value Award 2022 事業開発課 鍼灸師部門』の発表を一部抜粋し、五十肩(肩関節周囲炎)に対する鍼治療の効果と治療経過についてについてご紹介させていただきます。
「Venus Value Award」とは、ビーナスが年に1度実施している、成果=Value(ビーナスがお客様に約束する価値)の発表会です。審査員には、各専門分野の先生をお招きし、厳正なる評価・審査を行います。
ビーナスに通ってくださるご利用者様の日々の変化や、事例を共有する場であるとともに、ご利用者様の生の声や仲間が努力した結果を感じる場でもあることから、多くの学びを得る機会としてスタッフに好評のイベントです。
鍼(はり)治療ってどんなことをするの?
まずは「鍼(はり)治療」がどのようなものなのか、かんたんにご紹介させていただきます。
鍼治療に利用する鍼は、滅菌した使い捨てのもののため、非常に衛生的です。
口径は非常に細く、注射針と比較してもその差は歴然です。
※針の太さの比較
⇒注射針の太さが採血用のもので0.7ミリ、予防接種用のもので0.5ミリに対し、鍼治療に使用する鍼の太さは0.25~0.14ミリ
次に、鍼を刺したときに、人間の体にどんなことが起きるのかをご紹介させていただきます。
鍼を刺すと、体は異物の侵入に対し免疫の反応をおこします。
(生態的防御本能)
これにより、以下のような現象が起こります。
- 血行促進
- 鎮痛作用
- 消炎作用
例えば筋肉が緊張している場所に鍼を刺すことで周辺の血流が回復し、緊張がほぐれる、という体の反応になります。
このように、体の「良くなろう」という反応を引き出すのが鍼治療の役割です。
鍼治療は五十肩(肩関節周囲炎)に効果があるのか?
今回は、「五十肩(肩関節周囲炎)」でお悩みのご利用者さまに対し、鍼治療を行った治療経過をご紹介させていただきます。
肩関節の周りに炎症が起こり、スムーズに動かなくなる症状のこと。
「五十肩」や「四十肩」は病名ではなく俗称で、「肩こり」や「ぎっくり腰」と同じようなもの。
正式名称は「肩関節周囲炎」。
かつては、原因の判別が難しい肩関節の炎症を総じて「肩関節周囲炎」と呼んでいたが、近年は画像診断や関節鏡検査の進歩により、分類が明らかになってきた。
▼肩関節周囲炎の原因(病態)
- 上腕二頭筋長頭腱炎
- 肩峰下滑液包炎
- 腱板炎・腱板断裂
- 肩峰下インピンジメント症候群
- 石灰化腱炎
肩の状態を把握するため
- ペインフルアークテスト(腕を上げる動作で痛みのでる角度により腱板損傷の有無を判断するテスト)
- スピードテスト(腕を前に上げた状態で負荷をかけ痛みの有無から上腕三頭筋長頭腱炎を判断するテスト)
の2つのテストで徒手検査を行ったところ、「上腕二頭筋長頭腱炎」だと推察されました。
そこで、上腕二頭筋の始まりから終わりまでに刺激をあたえる治療を行い、治療前後の肩の動きを比較してみました。
第1回の訪問:施術前「65度」⇒施術後「130度」
第2回の訪問:施術前「90度」⇒施術後「140度」
ご利用者さまからは、「服の脱ぎ着がしやすくなった」「痛くて寝れなかったのがぐっすり寝れるようになった」と感謝のお言葉をいただきました。
鍼灸はADLとQOLの向上につながる
今回の事例では、ご利用者さまがお悩みだった五十肩の痛みの軽減や可動域の改善により、ADL(日常生活動作)の向上させるとともに、介入初期から施術効果を実感いただけたことでQOL(生活の質)の向上にも繋がりました。
私たち鍼灸師は、ご訪問させていただいた際のご利用者さまの日々変わりゆく状態を丁寧にお聞きし、治療計画を立てて施術させていただいております。
お体の状態だけでなく、心にも真摯に寄り添い「安心の空間」を提供したいと考えております。